晴れ舞台はいつも雨

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THE GREATEST SHOW-NEN第16回公演【鬱憤】感想

THE GREATEST SHOW-NEN 第16回公演【鬱憤】、すごく素敵な舞台でしたね。

コロナ禍とリンクするヒノワウイルスが蔓延する世界での若者の物語。

胸がギュッとくる部分もあったけど、最後はなんだか心温まる物語で、とにかく語りたくなったので久しぶりに感想ブログを綴ってます。

 

とにかく素敵な物語だったし、リチャくん演じる佑理が本当にいい人で彼にとにかく幸せになってほしいと願わずにはいられない物語だった。

THE GREATEST SHOW-NEN|朝日放送テレビ

佑理と優弥

私はHAPPY ENDieじゃないけど、脚本や小説などに終わりがきてもその世界線は続いていて登場人物たちの物語はまだ続いていると思っているので、佑理が留守電を聞いた後もあの世界は続いてると思ってます。

だからこそ、佑理にはこの後幸せになってほしいなって思う。星の光を見て優弥を思い出したり過去は振り返りたくないって言ってたけど、たまには星を見上げて過去の光をラグを通して浴びるのもいいなって思ってほしい。

それでいつか、カレーパンを食べれるようになってほしい。

カレーパン

別に劇中で食べれない描写はなかったけど、なんとなくまだカレーパンは買えないんじゃないかなと思う。佑理はきっとふとカレーパンを目にしたり、またはカレーの匂いを感じたときに優弥を思い出して胸がギュッとして買えていない気がする。香りは脳に直接届くらしく、だからこそ香りと共に思い出が蘇ることが多いらしい。だからきっとカレーやカレーパンの香りで佑理は優弥のことを思い出すんだと思う。2年しか経ってない今はまだカレーパンが食べれないかもしれないけど、いつか佑理にはカレーパンを食べながら優弥との楽しい思い出を振り返れるようになってほしいなと願わずに入れない終わり方だった。その時は隣に大切な人がいるかもしれない。もしいたら、佑理は食べ切れるのに優弥を真似て半分残して冷蔵庫に入れておいて恋人に食べきれなかったから食べていいよって言うのかな。なんて考えちゃうほどには佑理にはとにかくご飯食べて元気でいてほしいと思う。

あと優弥はきっと食べ切れる日もわざと佑理とはんぶんこしたくて食べ切らなかった日もあるんだろうなー。佑理は優弥のそういう可愛いところが好きだったのかな?私は話す時に嬉しそうに腕ぶんぶんする優弥が可愛くて好き。だから物語が終わって最後リチャくんと晶哉がはけた時あれはくさまさやじゃなくて佑理と優弥だったと思う。腕ぶんぶんして嬉しそうに佑理のことを見てる優弥と、優弥の背中を優しくポンっと触れる佑理だった。

「糸電話」

物語の冒頭と最後に誠也くんが佑理の気持ちを代弁するように歌うこの曲、最初と最後で歌い方が違いのはきっと佑理の"言葉にする前の言葉"が変わったからなのかな。

物語冒頭の糸電話は優弥が亡くなった後の時間軸な気がする。まだ現実が受け止められてなくて、到底留守電を聞ける勇気もなくて、この現状に泣けばいいのか、怒ればいいのかわからなかったんだと思う。だから留守電聞いたよって歌ってるけど本当は聞いてないんじゃないかな?最初に歌う糸電話のリチャくんが歌う「泣けばいいのか、怒ればいいのか」の歌詞はすごく泣きそうな切なそうな表情だったのはまだ留守電届いてからあまり時間が経ってないからだと思う。

「離れれば近づく喜びと」の部分からぐわっとドラマチックに観客を惹き込むような歌い方だったのもきっと離れてしまった現状を受け止めきれてないのかも。

あと「張り詰めた糸、聞こえなくなる」の歌詞が最初は引っかかってた。糸電話は原理としてピンと糸を張った状態であれば糸が長くてもちゃんと聞こえるはずなのになんで聞こえなくなるっていう歌詞なんだろう?って思ってた。けどこれはこの後にわかる、タイムラグが生じてたから、心の距離が遠くなってしまったからなんだなって納得した。

でもそれから2年後、留守電を清水くんの協力のもとやっと聞けた後の佑理の心は当時とは違ってもっと穏やかだったから寂しいけど心温まる歌い方になっていたんだと思う。優弥が居ないことは変わらずまだ痛むし泣きたくなるけど、きっとこの頃は昔のように「食べきれないならカレーパン買わなきゃいいのに」って言えるぐらいにはなってたんじゃ無いかな。その心の変化が歌い方の変化な気がする。

 

本家の幻灯劇場さんの糸電話の動画が公開されているので貼っておきます。

個人的に「言葉にする前の言葉」という歌詞がすごく好きです。

口にする前とか言葉にできなかったとじゃなくて「言葉にする前の言葉」という表現がなんか妙に刺さってます。

「糸電話」(音楽劇『鬱憤』より) - YouTube

留守電

佑理への留守電内容が本当に愛に詰まっていた。4回電話して、留守電出るまで優弥は何を考えていたんだろう。発熱した時からずっと佑理に心配かけないように本当は怖いのに明るく振る舞うように努めてたんじゃないかな。最後の留守電も最後になるってわかってたけど、でも少しでも回復する希望を捨てたくなかったから「星になった側から言わせてもらうと」と言いつつも「帰ったら食べるから」ってカレーパン残しておいてねって言ったんじゃないかな。

佑理も同じく心配かけないように、電話出る時はきっと最後になるだろうから元気な声で話したかった。でもまだその自信がないって思ってるうちに結局出れなくて留守電になったのかな。その後悔があるから2年も留守電を聞けなかった気がする。

でも電話で直接話してたら何年もずっと星の光のように佑理を照らし続けてくれる留守電は残らなかったって考えると、いつかきっと佑理は電話に出れなかったことが間違いじゃなかったって思える日が来るといいな。

一つ気になるのは、佑理は優弥に伝えたい事ちゃんと伝えられたのかな?出てもらえなかった電話をかけ直すたびに優弥はきっと佑理に何を伝えたいか、どう伝えたいかすごく考えたし考え抜いた言葉があの留守電になったと思うんだけど、それを2年も聞かなかった佑理はちゃんと優弥に伝えたい想い伝えられたかな?と心配になっちゃう。その後悔がないといいな。

村上と悠太

この2人一緒に商品開発すればいいんじゃないかな。村上って本当に心が綺麗というかピュアでゆうちゃんをヒーローって本当に思ってる。村上にとってゆうちゃんは大切な友達で自分が苦しかったときに助けてくれたヒーローだから自分も恩返しをしたいって思ってる。

でも悠太は村上を結局いじめっ子から救ってあげられなくてただ自分も村上側に回ってしまっただけって思ってそう。だからゆうちゃんはヒーローだよ!って言われた時のあの顔だったんだと思う。

悠太は胡散臭い商品を売ってたけど、いかにも怪しい商品、100%感染しないとか薬機法ガバガバな宣伝、ランボルギーニ乗り回す派手さでそのうちネットで叩かれそうな要素満載だったからこのタイミングで自分のやってる事を見つめ直せて良かったんじゃないかな?そういう意味では村上の方がヒーローかもしれない。悠太を救ってくれたヒーロー。

胡散臭い商品を何個もバンバン売ってたの考えると発想力だったり、商品を売るマーケティング力はありそうだから1損する側の人を救えるような商品を村上や清水と一緒に考えて商売してくれたらいいなーなんて思う。

清水

清水って本当にピュアというか真っ直ぐな子で、彼に救われてる人は多い気がする。佑理が留守電聞けたのはもちろん、クセの強い工藤さんがのびのびと書店で働けたのも清水のピュアさがあったからじゃないかな?

佑理は星空は過去と向き合うから嫌だと言ってたけどそれは同性愛者である事を受け入れてもらえなかった過去とかもあるのかな?って思った。男性同士だと部屋が中々借りれないとか優弥と一緒に仲良く暮らすまでも色んな試練があったんだと思う。でも清水は真っ直ぐな子だから佑理の恋愛対象が同性でも特に気にしてなさそう。(工藤さんも他人に興味ないという意味で気にしてなさそう) 同性愛者という事に対しての偏見とかがないからこそ、一緒に聞きましょうか?の提案に佑理もありがたく甘えられたんだと思うんだよね。

清水にはいつまでもピュアで真っ直ぐでいて欲しい。こじけんのように。

工藤さん

工藤さんがポップ書いたあとにスマホ見て笑ってたのが気になった。最初は誰かから連絡が来たのを嬉しそうに読んでるのかな?と思ってそれがすごく違和感だった。だってあんなに癖強いんだもん。失礼だけどあんまり友達いなさそうだなって。でも何回か見て、あれは大好きな作家さん(それこそ花岸かなえさん)の新書とかのお知らせを見たんじゃないかな?って思ってそしたらすごく腑に落ちた。

2年前も意地でも毎日出勤してたり、きっと工藤さんも不安だったんだなと物語の端々から感じれた。不安だっていう事を口に出してしまうと余計不安になるからあえて変わらない日常を送ったり、過度な感染対策に不満を持ってたんじゃないかな?

村上書店が潰れてもまた書店で働きたい工藤さんがなんか愛らしかった。ちょっと人間付き合いが不器用な本が好きな青年なんだろうな。ちょっとの間はお休みしてゆっくりしてからまた書店でクセの強いポップを作ってくれてるといいな。

あ、もしかしてスマホの通知見て笑ってたのはブログの通知とか?なんかブログとかで好きな作家や本について語ってそうだもんな。そのブログの読者からのコメントとかの通知だったりもするかも。

本音ダダ漏れ稽古

清水、村上、峠の3人の最初のシーンの本音ダダ漏れ稽古って今回の稽古の中でも結構序盤に行われた気がする。1本通して見てみて、村上の本音は村上じゃなくて完全に正門くんだったから我儘を言えるなら稽古後半にまたやってほしかったなーって。

あとは視聴者のメンタルがズタボロになるのわかってるけど佑理と優弥のあのハグのシーンでもやって欲しかった。想像しただけでも辛いんだけど、きっと初回稽古と後半で同じようにダダ漏れでやってたらAぇ6人のそれぞれのキャラやキャラ同士の関係性の解像度が上がってるのがわかってそれを比べるのも面白かったんだろうなって思う。

「鬱憤」が伝えたかった事

工藤さんの感染リスクを取るか経済リスクを取るかの問い、佑理が最後にどっちが正解だったのかな?っていうこの問いこそがこの物語が観客に問いかけたい事なんだろうなって私は受け取った。

結局は正解なんてわからなくて全てタラレバになってしまうから、選択をした後はそれを正解にするために生きていくしかないのかな。その選択を正解にするために走ったり、時には立ち止まったり戻ったりして修正すればいいしそれが人生だなーって。たまに立ち止まってラグが生んでくれた過去からの光を浴びたりしながらもとにかく進むしかない。

Aぇ! groupの音楽

糸電話、立つ野は一人、ひまになっちゃった、糸電話(reprise)

今回の劇中歌4曲とも全然違っていてそれをメインで歌った誠也くんと晶哉の凄さを改めて感じた作品でもあった。

糸電話は本当に最初とreprise版では同じ歌詞でも感じ方が全然違っていて表現力の凄さを改めて感じれた。同じ歌だからこそ表現力の幅の広さを直に体感できた気がする。

立つ野は一人も今まであまりAぇで歌っているのを聞いた事ないようなジャンルだった。

練習風景の動画からも伝わるパワフルさ!

(リチャくんも上手すぎてリチャくんバージョンも見たくなる)

https://twitter.com/i/status/1628709183460868097

晶哉は「ひまになっちゃった」みたいなソフトな歌が似合うイメージだったけどあんなにハードな歌もパワフルに歌えるのはビックリだった!

(狼煙DVDでのspecial orderの後半でIn the fight 超えるborderlineをガナリながら歌っててそのギャップに驚いたの思い出した。)

何公演も歌ったり、ライブで歌うのは喉酷使しそうだなとは思うけど、いつかAぇのライブでもこういうテイストの曲が聞いてみたいな。

この曲も本家の動画が上がってるのでリンク貼っておきます

「立つ野は一人」(音楽劇『鬱憤』より) - YouTube

 

グレショーは毎回演技力だけじゃなくて、初対面の人たちと打ち解けてチームを作る力、他の仕事との兼ね合いで全員揃って稽古できない中で協力しあいだから仕上げていくチーム力、とか色んな面で成長して、視聴者はその成長に着付ける番組だなって常々思ってたけどそこに今回は音楽力も加わってた。Aぇ!はいい意味でジャンルレスなグループ。どんなジャンルも自分達のカラーに染める力を持ってる事を再認識できたのも嬉しかった。

 

総じて、第16回公演【鬱憤】最高でした。

今回も素敵な作品をありがとうございました!

 

鬱憤の感想語りたい方、本投稿への感想などあればマシュください

marshmallow-qa.com