晴れ舞台はいつも雨

嵐 | Aぇ! group

THE GREATEST SHOW-NEN第12回公演【大暴力】考察+感想 《第4弾》

先週終了した大暴力 最後の考察+感想です!

 

前回5/21放送分は仕事が忙しすぎてブログ書けなかったので覚えてる部分だけ!

https://www.asahi.co.jp/the_greatest_show-nen/archive/220521.html


#ガラスの水族館

公野がくれた水族館で買ってきた金魚のお土産を見て浮気を疑い殴りかかる榊。そこにやってきて三城平がいじめてたことについて過去の事にしないで、今でも続いてるからと訴えるシーン。これはもう大晴の演技がすごかった!

過去に自分をいじめた相手を前に思ってることを言うのはきっと怖かったし勇気が必要だった気がする。それでも今言わないと後悔するから目に涙をためながらも、言いたいことがまとまらないままバーっという感じがリアルだった。

言いたい事あるのに伝わってるか分からないから、言い方を変えて見てはいるつもりなんだけどそれがぐるぐる結局同じようなワードチョイスでしか出てこない感じがリアルでした。三城平の目が潤んで行くんだけど、その涙がこぼれないのもすごく良くて、大晴っていつの間にこんなに演技上手くなってたの?と驚いた。

あと途中でカメラに向かって訴えてくるシーンはすごくドキッとした。某アイドルグループの練習を撮影してるカメラじゃなくて舞台全体を撮影しているグレショーの撮影クルーのカメラを見てくるところ。

あれ劇場のお客さんが入っていたらきっと観客の「ハッ」と息をのむ音が一瞬響いてすごくシーンと静まり返って、それがさらにゾクッとさせる鳥肌もののシーンになったんじゃないかな?

今まで、傍観者として「大暴力」という舞台を見ていて、演者と見にきた客/視聴者という見えない壁があったはずなのにこのシーンだけその壁を超えてきて訴えてくる。いじめを見て見ぬ振りをして、彼にとってのまだ「今」であるいじめを過去にしたのはいじめてきた榊だけじゃなくてそれを見てるだけだった自分たちもなんだって事に気付かされたからドキッとした。

このシーン、公野には三城平が見えていないような演出だったから榊の幻覚とか妄想なんだと思う。けどそれはいじめをしていた過去の自分を悔やんでとか反省しているからとかではなく、過去の自分にイラついてるのかなと思った。正当化できないけど正当化したいみたいな?謝りながらも公野を殴っている榊は自分自身に対する苛立ちも公野にぶつけている気がする。

 

この放送の時にはもう某アイドルグループが稽古している舞台の周りは今までの衣装や小道具でぐちゃぐちゃ。これが彼らの関係性や個人のストレスレベルが限界まできているイライラ具合を表してる気がする。

今まではパッパッと変わるフラッシュフィクションに気を取られてたけど、気付いたらすごく散らかっていてその不快感と彼らの仲の悪さが加速して行く感じ、思いやりがどんどん欠落して行くのを見ている不快感の二つが私の中で重なって、なんかすごく「うわっ」といういやーな感情が自分の中に生まれていた。(演出ってすごい)

 

#これはまだ本番ではない

三城平がグループに対する不満をインスタのストーリーズに書き込んでいた事。それを悪気ない感じで他のメンバーに言ってしまう公野。スクショ撮っていた安藤。ファンの書き込みで何かあったのは気付いていたのに何も言わずにいたナット。

どれもすごくリアルだし、うわーって感じ。公野の何で今それいうの?って言う人とずれた感覚が周りを不快にしてるのに気付いていないのが怖い。ちりつもで嫌な気分にさせるタイプすぎて周りにいたら絶対に友達じゃないなって思った。

スクショ撮っていた安藤もすごくタチ悪いなと思いました。「〇〇が君の悪口言ってったよ」みたいないらない報告する人いるけど、安藤はこのタイプだなとこのシーンで思いました。知らないままで良かったのになんでわざわざ言うの?みたいなタイプの人。君のためにと思って言ったんだよと言う善意を盾に人を傷つけたりイラっとさせるタイプ。

ナットは他のメンバーより少し年上だから何を言わずにスルーしたのかなとも思うけど、高本みたいに何かあるなら言ってくれればいいのにみたいなことも言わないから、単純に面倒に巻き込まれたくないだけなんだろうな。

三城平は行動に問題はありだけど真面目にアイドルグループとしての活動に取り組んでる気がするけど、ナットにはそれが感じられない。と言うか、三城平以外にはそれが感じられるシーンがなかった気がする。

 

ここからは5/28放送分の感想など

https://www.asahi.co.jp/the_greatest_show-nen/archive/220528.html

稽古シーン

ついにみんな限界が来てる時、高本もキレてからのナットの立ち上がって「でも俺殺される理由ないか」が怖かった。今まで、「え、なんでこのタイミングでそれ言うの/やるの?」という感覚がずれた行動をしていたのは公野。ナットは事を荒立てない様に間に入ったりしていたのにここで急に公野みたいな感覚のずれた行動をナットがした事で、「あ、もうこのグループ終わったな」と思った。私の中のリチャが「お前だけはしっかりしててくれ!」って叫んでる。最後の繋ぎ止めてたほそーい糸があのナットの言動で切れてしまった感覚でした。

 

#これはまだ本番ではない

最後、気持ち悪いくらいにお互いに気を使いながらの稽古。気を使っている様に見せて、誰もお互いにもグループにも本気で向き合っていない感じがしました。この舞台の冒頭から沸点の低かった三城平はぱっと見は一番短気だったけど、それだけちゃんとグループ活動に向き合っていたんだなと改めて思わされました。「失ってから気づく」というのをここで見せられてるのが良かった。

もちろん喧嘩なしでもグループ活動はうまくできると思うけど、喧嘩しないのと本気で向き合わないのは別。ここの某アイドルグループは気を使ってるなじゃなくって、臭い物に蓋をしているだけ。見ていてすごく気持ち悪かったです。(褒めてます)

 

なんで三城平は「俺はボロボロでも良いでしょう?」って言ったんだろう?それがすごく気になる。別に良いでしょって言った後ちょっと周りが黙り込んじゃう感じ、昔何っかあったのかな?昔いたグループが三城平のせいで解散したとか?それかグループのスター的メンバーが三城平きっかけで辞めたとか?だから演出家とのやりとりだったり雑用も全部引き受けてるのかな?懺悔的な?

 

最後、仲良いフリをするのかの話になった時。

「俺らが仲良くしたら良いんちゃうん?」と公野が言った後「仲良いフリするって事?」ってナットが言った後にちょっと間がある感じ、公野は割とこのグループ好きなのかな?ストレスが溜まって最近がギスギスしてるけど割とうまくやってると思っているのかも?だから仲良いフリ?って言われた時に「あ、仲良いと思ってるのは俺だけなのかも?」という戸惑いがあったような気がした。

安藤が仲良いフリなんていくらでもできると言った後の三城平の「せやな」もなんか切なかった。三城平はこのグループで真剣にアイドルとしてやって行きたいっていう気持ちを私は受け取っていたから、三城平と他のメンバーのグループに対する温度感の差を改めて突きつけられて三城平の心はチクリと痛んだような気がした。客席側に背を向けてるから顔がはっきり見えないけどここの三城平はなんか切なかった。

 

#三城平教祐 / 福本大晴 #これはまだ本番である

最後に某アイドルグループからAぇ! groupになるこのシーン、こここそが芸能界という大暴力だった。見せてくれてる裏側も結局は演じている。そんなの分かり切っているけど改めて突きつけられた。

でもリチャが最初に切り出して誠也くんをいじるのだったり、それを受けて誠也くんがテンション高めにSinging in the Rainの傘のアクシデントの話をしてる感じ、これは福谷さんが稽古中に言ってた「ギアを入れて仲良しを演じることがあるでしょ?」の状態だった。

稽古で言われたあの言葉、その場では誰も肯定も否定もしなかったのに、ここでそれを体現する感じ誠也くんが福谷さんを挑発してる感じもして好きだった。「あの時言ってたのはこういうことでしょ?」とでも言わんばかりにいつもよりテンション高めで言ってる気がする。

もちろん本番が終わってのアドレナリンが出ている状態というのもあるけど、誠也くんが普段ファンに見せているアイドル末澤誠也は傘が飛んでいったアクシデントを笑い話にするよりはちょっと悔しがる気がする。でもこの考察自体も結局自分が見たいものを彼らに投影してしまっているファンからの暴力でもあるという皮肉さが面白かったです。

 

全体の感想

すごく試されてる気分でしたね。描かれている暴力や皮肉なブラックユーモアは自分が受けたことある痛みだったり、与えてしまった自覚がないと感じ取れない気がしました。現に、すごくリアルに感じる演目もあれば、見たままの物語以上私の中で話の広がらなかったものもあって、それはきっとその演目で描かれた種類の暴力に自分が触れたことがなかったからのかなと思います。

また描かれた暴力のどのキャラクターに感情移入するかも視聴者の感性それぞれ。なので終わった後のTLみて、「あ、そう感じる人もいるのか」という気付きがすごく多くて自分の引き出しにはない痛みを知ることのできる舞台でした。

この物語を見ての感想は仲のいい友達と語り合うにはちょっとリスクが伴うような物語で、だからこそ素性の知らないオンライン上での色んな方の感想や考察を見るのが面白い物語でもあったと私は感じました。

短編での各登場人物の演じ分け、小道具の管理だったり早替えなど俳優としてもアイドルとしても今後も活かせるスキルが身につく舞台でもあったのと、今回の役は中々ジャニーズ事務所のタレントが演じないような役も多かったので、そういう点でもAぇ! groupのみんながこの作品に出会えて良かったなと思いました。